季節のヨーガと過ごし方 9月8日「白露」

ようやく秋らしくなってきました。
“空気中の水蒸気が冷えて露となり、白く見える”という意味の「白露」…きらきらと美しい景色が浮かんでくるようです。
 
昔の暦を意識して暮らすようになってから、そして屋久島に移り住んでから、自然界が教えてくれるささいなメッセージに気がつくのが楽しみになりました。
目を凝らして、耳を澄ませて、日々を過ごしていると、二十四節気や七十二候の言葉通りの小さな気配が感じられたりして、昔の人々の感性はなんと豊かで繊細だったことかと驚きます。
 
皆さんの周りには、今どんな秋の気配が訪れているでしょうか?
 
 

(ヤクシマツバキ(リンゴツバキ)の実。本州で見ていたものより、ひとまわりもふたまわりも大きいです。)
 
 
 
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さて、以前にも取り上げたことがありますが、東洋哲学の基本となっているのは「陰陽五行説」です。これは「陰陽論」と「五行説」の2つから成り立っています。
「陰陽論」とは、「世の中すべてのものは相反する2つの性質を持っている」というものです。(例えば、天と地、男と女、昼と夜、日と月…など)
季節に当てはめると、春と夏は「陽」、秋と冬は「陰」に当てはまります。ちょうど今は「陽」から「陰」に移り変わる時季ということになりますね。
 
 
 
また四季の流れを一文字で、以下のように表したりします。
 
□春=生
植物が発芽して生まれるように、私たちも自分を否定したり、心身を内に込めることなく、のびのびと過ごしたい時季
 
□夏=長
植物が花を咲かせ身をふくらませて、ぐんぐんと生長するように、私たちもよく動き、元気を身体の外側に発散させる時季
 
□秋=収
植物の生長は収束し、実や葉を落とすように、私たちも生命力を身体の内側にしまい始めます。春夏で培った力を蓄えて、冬へとつなげるように、穏やかに過ごすといい時季
 
□冬=蔵
植物が土の中でじっと次の季節を待つように、私たちも寒さから身を守り、一年を通して消耗した力を回復させ、静かに過ごすといい時季
 
季節が巡り、変化するように、私たちの心身も変化しています。四季のリズムを意識しながら、それに沿うように生活すると、また次の季節も健やかに過ごすことができると言われています。
 
 
 
今は「秋」の季節ですから、心を穏やかにゆったりと過ごすといい時季です。
といっても、日々の生活でやらなければいけないことは沢山あるし、ついつい予定を詰め込んでしまったりして…現代人は(私も含めて)休み下手の人が多いかもしれません。
 
今日は、養生法のなかでも、「心養生」を取り上げてみましょう。
<養生のいろいろ>
 心養生(心のもち方、物事のとらえ方)
 食養生(食べるものの選び方、食べ方)
 動養生(体の動かし方)
 休養生(休みの取り方)
 因時養生(季節ごとの過ごし方) etc…
 
「心養生」とは、心と体のつながりをより意識して、生命を養うことです。心がけたいことは、
 
□ゆったりと呼吸する
ヨーガでは、呼吸は心と体をつなぐものと考えられていて、呼吸法をとても大切にしています。自然の中で深呼吸をするだけでも、心が穏やかになり、体が元気になるような気がしませんか?
 
□私心を少なくし、欲を寡なくする
 
□四季の変化に応じて、心の持ち方をしなやかに適応させる
 
□目と耳を休ませる
外部からの刺激を減らすことで、心の平静さを保つことができます。スマホを見る時間を減らすこと、そして草木の緑を眺めたり、自然界の音に耳を澄ませるといいとも言われています。
 
 
 
今すぐにでも出来そうなことから、そうはいってもなかなか出来ないのよね…ということまで、いろいろありますね^^
 
今月のヨーガMovieは「お外で楽しむヨーガ」です。靴を履いたまま、マットがなくてもできるポーズばかりです。お天気のいい日には、自然に触れたり、ご近所の公園に出かけたりして、体を動かしてみてください。
皆さまの秋の養生の一つに加えてもらえたら、うれしいです。